コムデギャルソンの歴史と魅力に迫る!ブランドの軌跡を探る

コムデギャルソンは、川久保玲が手がける革新的なファッションブランドです。常に既存の概念に挑戦し、独創的なデザインを生み出してきました。1981年のパリコレクションでのデビューは「黒の衝撃」と呼ばれ、ファッション界に大きな影響を与えました。

本記事では、コムデギャルソンの歴史と魅力を探ります。ブランドの軌跡をたどりながら、川久保玲の想いとビジョンに迫ります。また、個性的なラインやコラボレーションにも注目。コムデギャルソンの独特の世界観を、ぜひお楽しみください。

目次

コムデギャルソンとは?ブランドの概要と特徴

コムデギャルソンは、デザイナーの川久保玲が手がけるファッションブランドです。「少年のように」という意味を持つフランス語から名付けられたこのブランドは、1969年の創業以来、常に既存の概念にとらわれない独創的なデザインで知られています。

川久保玲
川久保玲 出典:FASHION NAVI

コムデギャルソンの意味と由来

ブランド名の由来は、フランスの歌手フランソワーズ・アルディの楽曲「男の子女の子」(楽曲を聴く)から着想を得ているとされています。この名称には、性別や年齢にとらわれない自由な発想で服作りに取り組むという川久保玲の思いが込められているのでしょう。

川久保玲が手がけるブランドの世界観

川久保玲は、慶應義塾大学で美学を学んだ後、自身のブランドを立ち上げました。彼女のデザインは、伝統的な美意識や価値観に挑戦し、新たな美の可能性を追求することで知られています。非対称やオーバーサイズのシルエット、ダメージ加工やパッチワークなどのディテールは、コムデギャルソンならではの特徴と言えるでしょう。

ファッション界に与えた影響と革新性

コムデギャルソンは、1980年代以降のファッション界に大きな影響を与えてきました。川久保玲の前衛的なデザインは、当時の常識を覆すものであり、多くのデザイナーやブランドに刺激を与えています。彼女のクリエーションは、単なるトレンドを超越した普遍的な価値を持つものとして高く評価されているのです。

コムデギャルソンが示してきたのは、ファッションの枠組みを打ち破る創造性と、時代を読み解く感性の重要性です。このブランドの革新的な取り組みは、現在に至るまで多くのファッション関係者から注目され、リスペクトされ続けています。

コムデギャルソンの歴史 – 創業からパリコレ進出まで

今日のコムデギャルソンの地位を確立するまでには、川久保玲の情熱と挑戦の歴史がありました。

川久保玲の経歴とブランド設立の経緯

川久保玲は1942年、東京に生まれました。大学卒業後、スタイリストとして活動し、その後1969年に自身のブランド「コムデギャルソン」を立ち上げます。当初は日本国内での活動が中心でしたが、徐々に海外でも注目を集めるようになりました。

日本国内での活動と発展

1970年代、コムデギャルソンは東京を拠点に活動を展開。1975年には東京コレクションに参加し、青山に直営店をオープンするなど、国内でのブランド認知度を高めていきました。川久保玲の独自のデザイン思想は、次第に多くのファンを獲得していったのです。

1981年のパリコレデビューと「黒の衝撃」

1981年、コムデギャルソンは初めてパリコレクションに参加しました。その衝撃的なデビューは、「黒の衝撃」と呼ばれています。当時のファッション界では華やかで女性らしいスタイルが主流でしたが、コムデギャルソンは黒を基調としたモードなコレクションを発表。

ボロボロに見えるほつれ非対称のデザインは、従来の美意識を覆すものでした。同じく日本から参加したヨウジヤマモトも、黒を多用したアバンギャルドなコレクションを披露し、二人は「Japanese Avant-Garde(日本のアバンギャルド)」と称されました。彼らのデビューは、パリのファッション界に大きな衝撃を与え、その後のモードに多大な影響を及ぼしたのです。

ヨウジヤマモトについてはこちらで詳しく解説しています。

脱構築スタイルが与えた衝撃と反響

コムデギャルソンとヨウジヤマモトの「脱構築」と呼ばれるスタイルは、ファッション界に大きな衝撃を与えました。服の構造や素材の常識を壊し、新しい美しさを表現するそのデザインは、賛否両論を巻き起こしたのです。一部の批評家からは、彼らのデザインを「ヒロシマシック」1などと揶揄する声もありました。

しかし、その独創性は多くのデザイナーに影響を与え、現代ファッションの礎となりました。パリコレでの成功は、日本のデザイナーが世界で認められる転機となり、コムデギャルソンとヨウジヤマモトは、日本を代表するブランドへと成長していったのです。

脱構築スタイルが与えた衝撃と反響

コムデギャルソンの「脱構築」と呼ばれるスタイルは、ファッション界に大きな衝撃を与えました。服の構造や素材の常識を壊し、新しい美しさを表現するそのデザインは、賛否両論を巻き起こしたのです。しかし、その独創性は多くのデザイナーに影響を与え、現代ファッションの礎となりました。パリコレでの成功は、コムデギャルソンが世界的なブランドへと成長する転機となったのでした。

コムデギャルソンの代表的なライン

コムデギャルソンは複数のラインを展開し、それぞれが独自の世界観を表現しています。

メインラインの特徴と変遷

コムデギャルソンのメインラインは、川久保玲自身が手がけるコレクションです。avant-garde(前衛的)な感性を核としたデザインは、シーズンごとに新たな表現を追求しています。オーバーサイズのシルエットや独創的なパターンメイキングは、このラインの特徴と言えるでしょう。

メンズラインの設立と発展

1978年、コムデギャルソンはメンズライン「コムデギャルソン・オム」を発表しました。現在ではデザイナーの渡辺淳弥が手がけており、メインラインの美学を男性服に落とし込んだコレクションを展開。「コムデギャルソン・オム プリュス」や「コムデギャルソン・オム ドゥ」など、複数のメンズラインを展開しています。

渡辺淳弥
渡辺淳弥 出典:purple

プレイコムデギャルソンなど人気ラインの魅力

「プレイコムデギャルソン」は、2002年に誕生したカジュアルラインです。フィリップ・パゴウスキーによるハートマークのロゴが特徴的。プレイフルなデザインと高品質な素材・縫製で人気を博しています。他にも「ガール」や「コムコム」など、それぞれのラインがユニークな魅力を放っています。

プレイコムデギャルソンのロゴ
プレイコムデギャルソンのロゴ

各ラインのコンセプトとターゲット層

コムデギャルソンの各ラインは、異なるコンセプトターゲットを持っています。メインラインは最もコンセプチュアルで、ファッションの可能性を追求。他にも以下のようなラインがあります。

  • コムデギャルソンシャツ
  • コムデギャルソンガール
  • CDG

「シャツ」はベーシックなアイテムをブランドらしく昇華し、「ガール」は少女らしさとモード感を兼ね備えています。「CDG」は比較的手の届きやすい価格帯で、若い世代に人気。それぞれのラインが、コムデギャルソンの多様な魅力を表しているのです。

コムデギャルソンとコラボレーション

コムデギャルソンは、他ブランドとのコラボレーションにも積極的に取り組んできました。

ナイキやコンバースとの人気スニーカーコラボ

中でも人気なのが、スニーカーブランドとの協業。ナイキとは「エアマックス95」「コムデギャルソン x シュプリーム x ナイキ エア フォース 1」などを発表し話題に。コンバースともタッグを組み、「チャックテイラー」にハートマークを配したコラボモデルは、長年愛され続けています。

H&Mとのコラボレーションコレクション

コムデギャルソンは、2008年に世界的なファストファッションブランドH&Mとコラボレーションコレクションを発表しました。このコレクションでは、コムデギャルソンの美学をよりカジュアルに表現。ポルカドットやストライプ柄を取り入れた個性的なデザインが特徴的でした。手頃な価格帯で展開されたこともあり、多くのファンを獲得しました。

現在のコムデギャルソンと川久保玲

コムデギャルソンの歴史は、常に新しいものへの挑戦の連続でした。現在もなお、川久保玲とそのチームの冒険は続いています。

MET個展の開催とイサム・ノグチ賞受賞

2017年、ニューヨークのメトロポリタン美術館で、川久保玲の個展「Rei Kawakubo/Comme des Garçons: Art of the In-Between」が開催されました。これは、生存するデザイナーとしては異例の栄誉。2019年には彫刻家のイサム・ノグチの名を冠した「イサム・ノグチ賞」を受賞し、改めてその功績が称えられました。

新たなラインの展開と挑戦

近年のコムデギャルソンは、新たなラインの展開にも意欲的です。2018年に立ち上げた「CDG」は、よりカジュアルでストリート寄りのデザイン。ロゴを全面に押し出したアイテムは若者から支持されています。

川久保玲の現在の活動とビジョン

川久保玲は、現在も第一線で活躍し続けています。「まだまだ戦い続けます」という彼女の言葉通り、その探究心は尽きることがありません。コムデギャルソンのこれからに、ファッション界は大きな期待を寄せているのです。

まとめ

今回は、コムデギャルソンというブランドの歴史と魅力について探ってきました。川久保玲の情熱と独創性が生み出したコムデギャルソンは、今日のファッションシーンに欠かせない存在となっています。その革新的な精神は、これからも私たちを驚かせ、インスパイアし続けてくれることでしょう。

時代とともに進化を遂げながらも、決して型にはまることのないコムデギャルソンから、今後も目が離せません。

  1. 当時のボロボロに見えるほつれや非対称のデザインを「まるで原爆投下後の広島の被爆者のようだ」と西洋人ジャーナリストが皮肉った表現 ↩︎
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